足首のねんざをくり返すのはなぜ?「治った後」に見直したい身体の使い方

「また足首をひねってしまった」。スポーツをしていると、ねんざは決して珍しいケガではありません。最初のねんざから何度か同じ側をひねるうちに、「ねんざはクセになるから仕方ない」と思っている方もいるかもしれません。
ねんざをくり返す背景には、足首そのものだけでなく、身体の使い方が関わっていることも少なくありません。今回は、ねんざが「治った後」に見直しておきたいことを、理学療法士の立場からお伝えします。
1. 「ねんざはクセになる」と言われる理由
「ねんざ」という言葉から、ちょっとしたケガを思い浮かべる方は多いかもしれません。でも、ねんざは、足首の関節を支えている靭帯(じんたい)が、無理な方向に引き伸ばされて傷つくケガです。靭帯が伸びる程度のものから、一部や全部が切れてしまうものまで、程度には幅がありますが、どれも立派な「靭帯の損傷」であることに違いはありません。
だからこそ、ケガをした直後に医療機関で状態を確かめ、適切な処置と、その後のケアを行うことが大切です。そうすることで、回復のペースが遅れてしまうことを防ぐことができます。
「治った」の線引きは、人によって違う
一般的には、痛みや腫れが引いた時点で「治った」と感じる方が多いと思います。一方で、私たち理学療法士は、足首を支える力や感覚が戻っているか、左右で動きに差がないか、競技の動きの中で不安なく動けるかといったところまでを見て、「元の状態に戻ったか」を考えます。
実際、痛みや腫れが引いた後も、次のような状態が続いていることがあります。
足首まわりを支える力が弱くなっている
:ケガの後、痛みのために足首に力を入れられない期間が続くと、足首まわりの筋肉が弱くなることがあります。また、もともとの身体の使い方のクセによって、特定の筋肉がうまく使われず、弱ったままになっていることも少なくありません。
足首の位置を感じとる感覚が偏っている
:私たちは、足首がどの向きにどれくらい傾いているかを、無意識のうちに感じとってバランスをとっています。ただ、身体の使い方にクセがあると、ケガをする前から、この感覚が偏っていることがあります。自分の足首が今どうなっているのかをつかめないまま、着地や切り返しで足首に無理な動きが強いられることで、ねんざが起きると私たちは考えています。この偏りは、痛みが引いても自然には変わりません。
かばう動きが関わっている
:ねんざで痛かった時期に足首をかばっていた動きが、痛みが引いた後も残っていることがあります。それだけでなく、以前にケガをした別の場所や、筋力のバランスが崩れている場所をかばう動きが、結果として足首に負担をかけていることもあります。足首そのものではなく、ほかの場所をかばうことが、ねんざの要因になっている場合もあるのです。
つまり、「痛くない」ことと「ねんざをする前の状態に戻った」ことは、同じではありません。
2. 足首だけの問題ではないこともあります
ねんざをくり返す方の動きを見ていると、ケガの後のかばう動きもさることながら、そもそも足首がねじれやすい動き方になっていることが多いと感じます。最初のねんざも、偶然ではなく、その動き方の中で起きていることが少なくありません。
たとえば、着地や切り返しのときに、お尻の筋肉がうまく働かず、体重が足の外側に流れてしまう。着地の瞬間に、つま先が内側を向いていたり、足の外側から着いていたりする。片脚で立ったときに骨盤が傾き、膝が内側に入ったり、足首が外側にぐらついたりする。こうした動きのクセがあると、足首がねじれる方向に負担がかかりやすくなります。
足首の不安定さを、ほかの部分がかばう動きが生まれ、その動きがまた別の場所の負担になる、ということも起こりえます。ねんざをくり返している場合は、足首だけでなく、股関節やお尻、体幹を含めた全身の使い方を見直すことが大切です。
3. 自分の状態を確かめてみましょう
ケガをした側としていない側で比べてみてください。いずれも、痛みのない範囲で、転びそうになってもすぐに支えられるよう壁や机の近くで行ってください。
つま先立ちでの片脚スクワット
:片脚でつま先立ちになり、かかとを上げたまま、膝・股関節をゆっくり曲げ伸ばしします。膝が内側に入ったり、足首が外側にぐらついたり、骨盤が傾いたり、かかとが下がったりせずに、くり返しできるかを確かめます。片脚で立つバランス、足首を支える力、膝や股関節の使い方を、一度に確かめられる動きです。
ポイントは、ゆっくり行うことです。この動きができる方でも、ゆっくり行うと、途中で動きが急に速くなってしまうところが出てくることがあります。そこが、弱さが隠れているサインです。
実際にやってみると、最初はうまくできない方も多いと思います。できないこと自体が、今の身体の状態を知る手がかりになります。その場合は、次の3つに分けて確かめてみてください。どこでつまずいているのかが分かりやすくなります。
片脚立ち:片脚で立ち、30秒ほど保てるか確かめます。余裕があれば、目を閉じて行ってみてください。左右で、ぐらつき方や保てる時間に差がないかを見ます。
片脚での軽いスクワット:片脚で立ったまま、膝・股関節をゆっくり曲げ伸ばしします。膝が内側に入ったり、足首が外側にぐらついたり、骨盤が傾いたりしないかを確かめます。
つま先立ち:片脚でつま先立ちを数回くり返します。左右で、上がる高さや回数、ぐらつきに差がないかを見ます。
最終的には、つま先立ちでの片脚スクワットを、左右差なく安定してくり返せることが、ねんざをくり返さないための身体づくりの一つの目安になります。
ただし、回数や秒数を増やすことが目的ではありません。やり方がくずれたまま回数を重ねても、身体づくりにはつながりにくくなります。膝が内側に入る、骨盤が傾く、かかとが下がるなど、自分の動きのクセや弱いところに気づくためのチェックとして使ってみてください。
左右差が大きい場合や、足首に不安定な感じが強く残っている場合は、一度整形外科で相談してみてください。
4. くり返さないためにできること
バランスの練習を続ける:片脚立ちは、足首の位置を感じとる感覚を整える練習にもなります。歯みがきの間など、日常の中でも取り入れられます。
お尻や体幹の筋肉を使えるようにする:足首を守るのは、足首まわりの筋肉だけではありません。お尻の筋肉や体幹がしっかり働くと、着地や切り返しのときに身体がぶれにくくなります。
着地や切り返しの動きを見直す:膝とつま先の向きをそろえて着地できているか、体重が足の外側に流れていないかなど、動きそのものを確かめることも大切です。着地のクセについては、バスケの着地で膝が内側に入る「ニーイン」、パフォーマンスにも影響していますでも詳しく紹介しています。
サポーターやテーピングは「補助」として:サポーターやテーピングは、足首を支える助けになります。ただ、それだけに頼りきりになると、足首を支える力や感覚が戻りにくいこともあります。身体づくりと並行して使うのがおすすめです。
5. TAYO WORKSができること
TAYO WORKSでは、理学療法士が動作分析にもとづいて、着地や切り返しなど、実際の競技に近い動きの中で身体の使い方を確認します。ご自宅だけでなく、練習場所などに伺うこともできるため、普段プレーしている環境に近い形で、足首にかかる負担のかかり方を一緒に確かめられます。
医療機関での治療に代わるものではなく、主治医の判断を前提に、ねんざをくり返さないための身体づくりをお手伝いする位置づけです。どのように取り組むかを選ぶのは、いつもご本人です。
よくある質問
Q. サポーターは、ずっとつけていたほうがいいですか?
A. 不安が強い時期や、試合などで支えがほしい場面では、サポーターが助けになります。一方で、それだけに頼りきりになると、足首を支える力や感覚が戻りにくいこともあります。バランスの練習やお尻・体幹の身体づくりと並行して使っていくのがおすすめです。
Q. 痛みはないのですが、足首がぐらつく感じがあります。相談してもいいですか?
A. はい、ご相談ください。痛みがなくても、不安定な感じが残っている場合は、身体の使い方を見直すきっかけになります。不安定さが強い場合は、まず整形外科で相談していただくことをおすすめします。
Q. 中学生・高校生でも利用できますか?
A. はい、ご利用いただけます。18歳未満の方は、保護者の方の同意が必要です。ご予約・ご相談の際に、公式LINEで同意書をお送りします。
まとめ
ねんざをくり返すのは、「クセだから仕方ない」ことばかりではありません。痛みが引いた後も、足首を支える力の弱さや感覚の偏り、ほかの場所をかばう動きが続いていることがあり、足首だけでなく全身の使い方が関わっていることもあります。
左右差を確かめ、バランスの練習や、着地・切り返しの動きを見直していくこと。それが、ねんざをくり返さないための土台になります。
ケガから部活に戻るときのポイントは、整形外科のリハビリが終わった後、部活に戻る前に知っておきたいことでも紹介しています。
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